耳・鼻・喉の健康コラム

中・高年の皆さんへの耳よりなお話し 〜加齢性難聴と補聴器のはなしその1〜

加齢性難聴

加齢による難聴の始まり

年をとると聴こえが悪くなります。それはシワや白髪などと同様に加齢に伴う身体機能の老化現象のひとつで、残念ながら治るものではありません。聴力の低下は、個人差はありますが、“お肌の曲がり角“ともいわれる30歳前後から徐々に進むといわれています。聴き返しが多い、テレビの音量が大きい、会議での話が判りにくい・・・など日常生活に支障がある場合、補聴器の装用を考える必要があります。特に加齢による難聴は高い周波数の聴き取りにくくなり、音を判別する能力(分別)が低下します。

具体的には低音の男性の声は聴き取れるが、高音の子供の声が判りにくい。といった状況です。また。分別能の低下は、声は判るが何を言っているのか判らない。特に50音の横の段。「あ」と「た」、「ひ」と「り」のような同じ母音で終わる音の分別がしにくくなるのが特徴です。また、急速に進行するものでなく徐々に進行していくため、自分でも気づかないことが多いのも特徴です。

 

補聴器の装用を検討する

「聴いた・聴かない・・・」や「言った・言わない・・・」といった人間関係のトラブルを避けるためにも、聴き返しが多い、テレビの音量が大きいといったことをご家族や近しい方から頻繁に指摘されるようであれば補聴器の装用を検討する必要があります。

聴力の低下やその程度には個人差があります。補聴器の装用にあたってはまずは専門の医療機関できちんとした検査(聴力検査)を行い、その聴力に合ったものを装用することが必要です。また、装用は原則として両耳です。両耳に装用しないと、方向感覚が判らなかったり、非装用側から話し掛けられると聴こえにくかったりなど様々な支障が生じることがあります。

補聴器は着けるとまるで若い頃のように聴こえがよくなる~。といった過度な期待や、逆にどうせ付けてもうるさいだけで無駄。といった過少評価。今は特に不便はない、歳だからしょうがない。というあきらめや眼鏡に比べかなり高額な医療機器であることも購入に二の足を踏む要因のようです。また、敬老の日や誕生日、クリスマスプレゼントなどで補聴器をお孫さんなどからせっかく贈られたものの、実際は装用しても合わず、たんすの奥に眠っているような話も耳にします。

補聴器の購入に際しては、~補聴器取り扱い~といった“のぼり”のある町の眼鏡店や、テレビやラジオ、インターネット等による通販での購入はあまりお勧めできません。また、難聴が高度な場合には身体障害認定の対象になり、福祉の援助が受けられることもあります。

まずは当院含め補聴器相談医の資格のある専門医療機関でのご相談をお勧めいたします。